ザンクト・ギルゲン 湖

2、ザンクト・ギルゲン

母・マリア・アンナはどんな人だったと思いますか。夫・レオポルトへの手紙を参照しながら、出身地のザンクト・ギルゲンの話を交えて、大いに想像をたくましくしておしゃべりしましょう。

★資料:ザンクト・ギルゲンのモーツァルト・ハウス作成ドキュメントDVD
:「ラテン語喜劇アポロとヒアチントゥスk.38」(1767年作 ザルツブルク大学で初演。祖父がここで、10年間演劇と音楽をしていた)
:ザンクト・ギルゲンの風景1、2

ザンクト・ギルゲンのモーツァルト像)ザンクト・ギルゲンのモーツァルト像

 マリア・アンナの手紙はあまり残されていませんが、聡明で気がつき、夫をたて、ときには夫に対しても正論でぶつかっていく女性像が浮かんできます。緻密なレオポルトに対して、おおらかで細かいことを気にしない優しい性格は、モーツァルトにそっくり遺伝していることがよくわかるでしょう。
「明日の十一日に、私たちは当地を発って、アウグスブルクへ向かいます。荷物をつめるのに一生懸命ですが、これは私にはとても辛い仕事です。だって、この仕事はまったく私ひとりだけで、ヴォルフガングはなにひとつほんのこまかなことでも、私を助けてくれることができないのです」(ミュンヘンからザルツブルグの夫へ。1777年10月11日)
「あの子には作曲の仕事でたくさんすることがあります。時間は早くすぎて行ってしまいますし、言ってみれば時間を盗まなければなりませんもの。だって、ある場所に食事に行き、別の場所で作曲をし、そして三番目の場所で眠るとすれば、それ以外のかたちはありえないからです」(マンハイムからザルツブルグの夫へ。1778年1月3日)