3、銅や鉄の人間が守護者となるときその国は滅びる

 本日の朗読は3.396E(226頁九)から。このレジメは3.409D 264頁-417B 287頁。

 贅沢な食事を誡め、食生活の単純さが健康につながる、などを主張した前回のレジメ部分に次いで、守護者(アルコンἄρχων)にとって必要な資質と、どのような教育下で育てられるべきかに話が及んでいきます。まずもってのプラトンの主張は、体育は気概を養うようなものでなければならず、音楽・文芸は愛知を養うものでなければならない、というものでしょう(411E)。
 気概は、徳性である勇気や正義観につながり、愛知はまさに哲学的な思考方法へと誘います。この二つの要素が、調和した形で守護者には身についていることが何よりも望ましいことになります。その上でプラトンは、支配する側としての守護者に次のような条件を立てます。

① 若者ではなく、年長者であること。
② 何よりも国のことを気遣う人であること。
③ 国の利益を第一と考える人であること。
④ 国にとって最善であることを行う、ということを忘れない人であること。

 さらにプラトンのソクラテスは、次のような物語を続けます(415B-415C)。

 かつて人間は神によって地下で作られた。支配者として国を統治する能力のある者には、誕生に際して金を混ぜた。統治者を補助する能力の者たちには銀を混ぜ、農夫やその他の職人たちには鉄と銅を混ぜ与えた。そして、国を支配する者たちに神は、生まれてくる子どもたちにどの金属が混ざっているかをよく見極めよ、と命令を与えた。

 そして、銅や鉄が混ざった子どもが生まれたならば、その生まれに適した農夫やその他の職人の地位を与えなければならない。逆に、職人や農夫たちから金あるいは銀の混ぜ与えられた子どもが生まれたならば、これを昇進させて、守護者や補助者の地位につけなければならない。そのようにすることこそ、『鉄や銅の人間が一国の守護者となるときその国は滅びる』という神託を守ることなのだ。

 これだけの物語を語ったあと、次には、住居を含めて守護者たちがどのような生活スタイルをとるべきかに話が及んでいきます(3.416C-3.417A)。守護者であるためには

① 私有財産を所有してはならない。
② 暮らしの糧は、節度ある勇敢な戦士が必要な分量と同じ程度であること。
③ 食事は、戦地の兵士と同じように共同食事に通ってすること。
④ 金や銀は自分たちの魂にあるので、それを扱ったり、身につけたり、金や銀の器から飲むこともならず、金や銀の置いてあるところの屋根の下にもいてはならないこと。

 さて、こんな守護者は幸福なのか、の問いから、次の第4巻は始まります。