5の談論続き NMB48の須藤凛々花を語る

 漫画雑誌『週刊ヤングジャンプ』が、アイドルグループNMB48のメンバー・須藤凛々花(19)さんに行ったインタビュー記事(49特大号、pp,180-181, 2014.11.20)を紹介したところ、彼女をめぐって談論の花が咲きました。

 「人間は生きているだけで哲学している、それがとても印象に残っています」
「ただ、ただ、驚いているだけです。コメント何も言えなくて」
「いつの時代でも今の若者はなっちゃない、と言うけれど、これを読んでみて、いまの若者にしてはしっかりしている。食品偽装の問題などもしっかり考えている。よく考えることがよく生きることだ、と私の持論を実践している、日本も捨てたものじゃない。例外ではなく、若者のなかにしっかりした考え方があるのではないか、それをどうやって政治に取り入れるかで勝負が決まるのではないか」

「どんなグループですか」の質問に、NMB48のパジャマトークを流す。
https://www.youtube.com/watch?v=UvZ-kRTbtng NMB48パジャマトーク(右端、須藤

「詩人なんかが、考えもつかないようなことを言葉に出すことがある。あるいは、特別な体験したひとが何かすごいことを言ったりする。彼女も、ものすごい感性だと思う、突然変異と言うか。ところで彼女の言っている実存的交わり、というのはどういう意味ですかね」
「触れ合うことによって他者と共感する、アリストテレスも触れるということはもっとも原初的なかかわりだと、言っていますが、握手会のようなものによって他者と交わる、そのことを実存的交わり、と言っているのだと思う」(茂木)
「握手と言うのは政治家がしょっちゅうやっていますよね、握手するとそれだけでころっといってしまう。握手にはそれだけの力がある、と」
「気の利いた政治家は、この記事を読んだら、ぼくも実は実存的なかかわりをもっている、ときっといいますよね」(茂木)

「哲学書をさらっとみて、君は自由だ、選びたまえ、フロムなら愛されることよりも愛することが大事だ、とぱっと取り込んでしまう。しかし、ぼくらはつい頭で考えてしまう。昔、ある哲学者の本を手にしたけれどもさっぱりわからなかった。彼女の話にヤスパースがでているが、これも昔、手に取ってわからなかった。彼女は、そのなかから、ぱっと何かの言葉に飛びついてしまう」
「感性力がないと、パッと飛びつけませんよね」(茂木)

「聞いてみないとわからないのですが、かたせ梨乃が理想と言うのは、この若い年齢の娘にしては不思議な気がする」
「お笑い芸人でまたきち(又吉直樹 またよしなおき)何がしがいて、100分ですべてがわかる、というのを大阪大学の経済学者とテレビで取材・コメントしている。これまでに本を2000冊も読んだとか、7歳か8歳のころに日記帳に書いたものを本にしたりしているが、若い人にもいろんな人がいるのかな、と。実存的交わりには、ちょっと抵抗がある。握手するということが洞窟の比喩のような虚像を哲学だとおもいこんでいるという危惧がある、自分から、それによって伝えられるものが何か、をわかっているのか、と」
「握手することによって、ファンのみんなが元気になる、私も元気になる、と言っていますが、元気の交流が、哲学の本質じゃないか、と思うのですね、哲学は人を元気にするとか、世界を明るくする、と。プラトンも、芸術やスポーツ、たとえばオリンピックの選手に興奮して元気をもらうのは一時的だが、哲学することによって真理に触れているときの至福感は一生続く、というようなことを言っています」(茂木)

「須藤は、“すどう”でなく“すとう”なんですが、彼女はAKB、名古屋のグループ、NMBの三チームがドラフトでこの娘が欲しい、と指名し、結果としてNMBに行くことになった。もともと、東京の娘(こ)ですね。ほかの娘たちと比べるとちょっと違う、17歳にしては端正すぎる。キャラがたつ。本当は、AKB48は、クラスの中の10番目ぐらいの娘、というのが発足の精神だったのですが…。ただ、きゃりーぱみゅぱみゅのほうが哲学的メッセージがずっと高いと思う。だからフランスでも受けている。歌の中身がわかりやすくフランス人に受ける」

「哲学がとてもフレッシュ、まるでサラダボールの中に、この娘の哲学がポットはいっているような感じです。辞書が好きというけれど、かなりな語彙をすでにもっている。辞書は時間を虜にする、と常々思っていました。自然学的に、自然学の中から、ぽこっ、ぽこっ、と出てきたような、自然そのものを大事にする時代性が生んだような気がする。さきほど実存的触れ合いの話が出ましたが、ハグするということの大事さを、その昔、シャンソンの先生がハグしてくれた時、あ、いいものだなあ、と思ったことがあります。その後、年老いた母が寂しがるもので、あるとき、ためらいながらハグしたら、嫌がると思いきや凄い力でしがみついてきたのです。ああ、これは人間が本当に欲しているものなのだな、と」

「ところで、須藤凛々花さんのこの記事はどこから知ったのですか」
「(市川の)哲学カフェ第一回に、路地考を話してくれた加賀谷はじめさんが教えてくれたのです。加賀谷さんは『難問が山積している現代にこそ、このような若い人が哲学に関心以上のものをもって取り組んでくれるのはうれしい限りです。私は彼女のような人にこそ生きた哲学が感じられるような気がします』とおっしゃっています」(茂木)

  参照 第一回哲学カフェ「路地性」に開く「異界」への入り口

「インタビューしている人もなかなか凄いし、彼女も、本質的なところを実に良くとらえている。たとえば、ヤスパースのことも。その核心部分を善くとらえている、これは生まれながらにして、哲学しているのか、と。目の前に二つ道があったら、私は面白い方に行く、と彼女は言っていますね。しかし、やはり、苦労する、ということがないと、哲学者として大成するかどうか、そこは気になるところです」
「フロム先輩は、人が他の人と一つになりたくなる理由は“愛”だと言っています、ということをさらりと言う、これはまさに本質をとらえていることですよね。」(茂木)

 皆さんの発言をどこまで再現できたか、今回もまことに心もとない限りですが、「きゃりーぱみゅぱみゅ」や「またきち」も、いずれ、俎上に載せたいところですね。