6、『最後の晩餐』に隠された天上の音楽

 前回は、実に多彩な『モナ・リザ』観を、皆さんから披露してもらいました。ルーブル美術館で直接見た方も多く、柵に囲まれたガラスケースに収められた状態のモナ・リザ以前に、ガラリと空いた館内でじっくりと見ることのできた幸運な方もいらっしゃいました。

画像の説明

 なにしろ、あの安部首相でさえ、欄干から見なければいけない(2014.5.4訪問)人類の至宝ですから、すぐ目の前で、人によっては写真まで撮影できたとは、幸せいっぱいですね。

 『モナ・リザ』は何を描いたのかについても、実にさまざまな考えが飛び出しました。「母と自分を重ねた自画像」「裏に男の顔が描かれているそうです。あれはダ・ヴィンチ自身の自画像ではないか」
 
 飛び切りの説は、『モナ・リザ』の左目の上に描かれた脂肪肝に注目した方の説です。「医者に言わせるとこれは妊娠の証であり、モナ・リザの着ている黒っぽい服は喪服、お腹の部分を良く見ると妊婦のように出ていることがわかる。これは、妊娠しているマグダラのマリアを描いたものである」というものなのです。喪服のマグダラのマリアが身ごもっている絵―とくれば、ダン・ブラウンの『ダ・ヴィンチ・コード』をしのぐ、凄い仮説ですね。

 『ダ・ヴィンチ・コード』は、キリストとマグダラのマリアが結婚し、その子孫の秘密を守る秘密結社シオン修道会の存在が真実味を帯びて語られています。修道会の総長としてレオナルド・ダ・ヴィンチも名を連ね、ミラノのサンタ・マリア・デッレ・グラツィエ修道院の壁画『最後の晩餐』に描かれたヨハネはマグダラのマリアである、など、刺激的な推理が満載です。

 本日はまず、アメリカの「Discover channel」が放映した「ダ・ヴィンチ Declassified(機密解除)」をご覧になってもらい、皆さんの推理を聞かせてもらいます。

 最後に、前回お配りしたジョヴァンニ・マリア・パーラの『ダ・ヴィンチ秘密の楽譜―「最後の晩餐」に隠された天上の音楽』(小野寺嘵之訳、イースト・プレス、2008.7)が明らかにした『最後の晩餐』に塗り込められた音楽を聴いてもらいましょう。

 この絵の中の使徒たちの手の位置や、食卓の上のパンの配置に注目してください。そこには、五線譜に落とされた4分の3拍子、12小節、2分音符から4分音符までの音符が記録されている、とマリア・パーラは主張します。
 
 キリストの右隣に描かれた聖ヨハネはダ・ヴィンチの母であると推理するマリア・パーラは、『最後の晩餐』のテーマは「人類のための究極の犠牲が可能であるという意味で完全なキリストの愛への信仰である」と結論し、ダ・ヴィンチは「人間を救うと同時に人間を孤独なままに残してゆく、残酷で苦痛に満ちた出来事」への共感と賛辞として作品のなかに隠された音楽を入り込ませた、と書いています(同書、p.154)。
 
 「天上の音楽」についての解釈については、皆さんのご自由におまかせします。