6、ロヴェレートRovereto

ロヴェレートのモーツァルトの墓碑
ロヴェレートRoveretoのモーツァルトMozartの墓碑

 ブレンナー峠を越えての小さな街ロヴェレートRoveretoには、モーツァルトを讃えるフリーメイスンの不思議なモニュメントthe Temple of Harmonyがあります。モーツァルトとフリーメイスンのことをおしゃべりしましょう。
(1769年12月24-26日、1771年8月17日、12月8日、10月30-31日)

 『ドン・ジョヴァンニ』がプラハで大成功したあと、モーツァルトはウイーンの親友フォン・ジャカンに次のような手紙を書いています(1787年11月4日)。「ぼくの親友たち(ことにブリーディやきみ)が、たった一晩でもいいから当地へ来て、ぼくの喜びを共にしてくれたらどんなにかうれしいだろう」。「ブリーディ」は、ロヴェレートRovereto出身のジュゼッペ・アントニオ・ブリーディGuiseppe Antonio Bridi男爵(1763-1836)のことです。ともにフリーメイスンFreemasonryの一員だった二人はウイーンで親交を深めました。

ロヴェレートのモニュメント

モーツァルトMozartを含む七人の音楽家を讃えたモニュメント
the Temple of Harmony

 モーツァルトの死後、男爵はロヴェレートに戻ってモーツァルトへの友情の証として広大な英国庭園を造成し、7本の柱に支えられたモニュメントthe Temple of Harmonyを建てました。さらに、一角に「旋律と思惟の力を備えた魂の王ここに眠る」と刻んだ墓碑を立てたのです。ブリーディは、声楽家でもあり、1786年3月13日にウイーンのアウエスペルク侯爵邸で行われたオペラ「イドメネオIdomeneo」のタイトル・ロール役イドメネオを務めています。
 1769年12月15日-27日付の本人覚書に、「日曜日の夜 ロヴェレートRoveretoに到着。ツア・ローゼ(薔薇館)に宿泊」と書いたあと、滞在中に会った20数人の名前の一人として「ブリーディ博士」の名があります。この人は「立派なクラヴィーア弾き」とレオポルトが評価(1770年11月10日。ミラノから妻にあてた手紙)するアントニオ・ジャコモ・ブリーディAntonio Giacomo Bridi(1721-99)で、レオポルトの手紙のなかにしばしば登場してきます。親友・ブリーディはこの人の従弟nephewです。
 モーツァルトは、1784年12月4日に、フリーメイスンの分団の一つ「善行」に入団しています。ハイドンもこの年の2月4日ないし11日に入団していました。この年の2月22日、モーツァルトに対するハイドンの有名な言葉「誠実な人間として神の御前に誓って申し上げますが、ご子息は、私が名実ともども知っているもっとも偉大な作曲家です」が発せられた身内だけの演奏会が、ウイーンのモーツァルトの自宅で開かれました。
 ハイドンとともに訪れた二人のティンティ男爵も、フリーメイソンでした。この晩披露されたハイドン・セット残り三曲のうち、最後の六番(弦楽四重奏ハ長調k.465)は、序奏部の不協和音がかなり異質で、メイソン入団前の「無知の暗闇」を表している、とも言われています。直後の明るいアレグロへの展開が、入団後の「光明」への脱け出し、とされるのです。父・レオポルトが、息子モーツァルトに誘われてフリーメイスンに入団したのは、この演奏会の直後の4月6日でした。

★Mozart の墓碑とモニュメントthe Temple of Harmonyは、ロヴェレートRoveretoの素敵な宿 B&B Relais Morzart
http://www.relaismozart.it/ 
Relais Mozart
内にあります。宿泊すると、宿の御主人が案内してくれます。

●I must say special thanks for Mis.Elisabeth and Mr.Giuseppe of B&B Relais Morzart for their help and kindness to write this article.

宿の情報は以下でもどうぞ。
http://www.booking.com/hotel/it/b-b-relais-mozart.ja.html?aid=311100;label=b-b-relais-mozart-Sz5CugJsC943R*VxpakVOwS8232294073;ws=&gclid=CNui6I-3tLQCFcdZpQod2x8Asw

モーツァルトとブリーディをめぐる逸話にさらに関心のある方は英語の記事で恐縮ですが、
Mozart and the Bridi Gardens in Rovereto by Richard Benedum
downroad
をご参照下さい。