7、女子教育が正義を促進させる

 今日、ヨーロッパは人口爆発ではなく人口収縮を恐れており、また人口増加率を低下させるうえで教育、特に女子教育を持つ劇的な効果について世界中で証拠が蓄積されてきており、啓蒙と相互作用を評価するコンドルセの考え方は、抑圧されない理性が世帯サイズを減らす上で果たす役割を否定したマルサスの悲惨な冷笑主義よりも支持を得られている。
              (アマルティア・セン『正義のアイデア』p.177)

 18世紀に「民主主義のパラドックス」を洞察していたコンドルセは、男女の平等についても深く思いを馳せていました。1795年に刊行された『人間精神進歩史』(渡辺誠訳、岩波文庫、昭和26年3月)において、声を大にしてこう主張しています。
 「人間精神の進歩のうちで、一般的幸福にとってもっとも大切なものの一つとしてわれわれは、権利の不平等によって利得を得ている人々にとってさえ悲しむべきものとなっている権利の不平等を、男女両性の間に樹立して来た僻見を、完全に破壊することを数え挙げなければならぬ。…この男女間の権利の不平等が生じた起源は力の濫用以外の何ものでもなく、そののちは詭弁によって、これを弁解しようと無駄な努力をしてきたのであった」
 「この僻見によって強制された法律を打破することが、如何に家庭の幸福を増進し、他のすべての徳の第一基底たる家庭道徳を普遍化することに貢献することができるか。またこのことが教育の進歩を助勢し、…教育の普遍化により、教育を男女両性の間にさらに平等に普及できるからであろうからであり、また教育は家庭の母親の協力なしには、男性にとってさえ、一般的となることはできないからである」
(同書第一部、pp. 274-275)
 タリバンによって銃撃され、九死に一生を得てノーベル平和候補にも名前のあがった16歳のパキスタン少女マララ・ユサフザイさんの国連演説は、コンドルセの主張が地球規模ではいまだに実現していないことを余すことなく伝えるものでした。彼女は「本日、私は女性の権利と女の子の教育という点に絞ってお話しします。なぜなら、彼らがいちばん苦しめられているからです」「女性の自由と平等を守れば、その地域は繁栄するはずです。私たち女性の半数が抑えつけられていたとしたら、成し遂げることはできないでしょう」と語り、世界のリーダーたちに女性の尊厳と権利を守るための政策実現を呼びかけ、女性たちにたいして勇気をもつことを求めています。
「1人のこども、1人の教師、一冊の本、1本のペン、それで世界を変えられます」「エジュケーション・ファースト(教育こそ第一)」で結ばれたマララさんの演説は、大きな感動と拍手で迎えられました。最大の不正義ともいえる女性差別の問題について、本日はご自由に討議したいと思います。

マララ・ユサフザイさんの国連演説
http://www.youtube.com/watch?v=iak1X8VedW0