7、女性は奸智にたけた種族である

            ―プラトンの女性観―

 第6回の結婚問題の続編です。「男は30歳に達したならば、35歳までに結婚しなければならない。それを過ぎたら、罰金と市民権はく奪の刑をうけるものとする」という第四巻721Bの宣言を、さらにここでは具体化していきます。罰金として、四つの財産階級(第五巻、744C)のうち、第一階級100ドラクマ、第二階級70ドラクマ、第三階級60ドラクマ、第四階級30ドラクマ、を毎年ヘラの女神に奉納することとし、年々の罰金を払わないものは10倍の債務を負わせることとする、と決められます(第六巻、774A)。

 わざわざ法律の条文まで作って結婚を義務化するのは、「人間は子孫を作ることで不死となる、それが自然の摂理である」との哲学観の表われ(第四巻、721B-C)であることは明記すべきでしょう。結婚しないものは、年下のものからの一切の尊敬を奪われ、若者たちに対しては、そのような者には従わないように勧告することまでが、法で決められることになります(第六巻774B)。

 持参金については、持たせることを禁じ(第五巻、742C)ましたが、ここでは(第六巻、774D)四つの財産階級に応じてそれぞれ、50ドラクマ、1ムナ、1ムナ半、2ムナの価値以上のものを与えたり、与えられたりする者は、同額を国庫に納めねばならないことが規定されます。婚約の決定権は、一に父親、二に祖父、三に父方の兄弟とし、誰もいない場合には同じ順序で母方の親族に移るようにされます(第六巻、774E)。

 披露宴は、友人は双方とも男女合わせて五人までとし、親族縁者も双方同数と決められます。費用はその財産にふさわしい額とし、最も財産の多い第一階級でも一ムナにとどめ、酩酊するまで飲むことは適当でなく、とくに酩酊状態での子作りは「生まれる子どもの魂と身体に悪徳の型を押し付ける」から、とくに、婚礼の日と夜はそのようなことから遠ざからねばならない、とされます(第六巻、775A-E)。夫婦は、入植時に各家庭に分配された二つの分配地(中心部と周辺部の二つ。第五巻、745C-E)の一方に、両親と別れて住み、二つの家を行ったり来たりして生活するようにしなければならない、とされます(第六巻、776A-B)。

 興味深いのは「共同食事(シュンポジオン)」の立法化であり、それに関して、プラトンの「女性観」が出てくることでしょう。共同食事は「国の安全に寄与すること、すこぶる大である」(第六巻、780C)とされますが、女性についてはこのことの法制化が日の目を見ていない、ことが強調されます。

 その理由として、「わたしたち人間のうち、生来その弱さのゆえに、よりいっそう隠しごとを好み、奸智にたけた種族、すなわち女性は、立法者が不当にも手を引いたために、無秩序のままに放置された」とし、「女性が野放しに放置されるということは、普通考えられるように、半分だけの問題ではないです。わたしたちのみるところでは、女性は生まれつき題意性よりも、徳性において劣っているだけ、二倍以上も問題になるのです」とまで言っています(第六巻、781A-B)。

 さて、皆さん、このようなプラトンの考え、どうお考えになりますか。

次回に、第六巻の一九~二三に出てくる奴隷制を扱います。

<参考>1タラントン=60ムナ、1ムナ=100ドラクマ、1ドラクマ=6オボロス
1タラントン=6000万円、1ムナ=100万円、1ドラクマ=1万円、1オボロス=1670円