3 .ダ・ヴィンチ100の発明

 ちょっと皆さん、『モナ・リザ』や『最後の晩餐』を残した史上最強の画家レオナルド・ダ・ヴィンチ(1452-1519)が、凄い発明王だったこと、知っていましたか。飛行機やヘリコプターの原型を作ったなどはご存知でしょうが、潜水艦から戦車、自転車、さらにはロボットまで考えていたとは、ちょっと驚きではありませんか。ダ・ヴィンチ作の絵画がわずか18点に過ぎないのに比べ、彼の”発明“はなんと100を越えるのです。

ダ・ヴィンチの発明品

 海に潜る潜水服、忍者のように水上を走るしかけ、二本の串を回転させて肉を焼く装置、ヘロンによる蒸気機関を応用した蒸気大砲、臭いが外に出るようにした便所まで、ダ・ヴィンチの豊かな想像力と科学技術力によって手稿の中に描き出された発明の数々は、ときにユーモアを感じるほど見ていて楽しいですね。
 
 フィレンツェの工房で名を上げたダ・ヴィンチが、ミラノ候イル・モーロに宛てにしたためた自薦状(1483年ごろ)は、画家としてではなく、発明家としての技量を誇るものでした。「名声赫々たる殿下、兵器の大家ならびに製作者をもって自任しておる人々全部の試作を十二分に吟味致し、その発明および発明品がありきたりのものと少しも異ならないと考慮致しましたので、いかなる他人をも顧慮することなく、閣下に私見を申上げて、小生の秘訣を披瀝致すことにつとめましょう」の前置きに続き、次の十項目が挙げられています。

(1) 小生、きわめて軽く、頑丈で、携帯容易な橋梁の計画を持っています。…
(2) ある町の攻囲にあたって、…上陸用舟艇や…その他かかる攻撃に附属する諸道具を製作することができます。
(3) …
(4) 便利至極、運搬容易な大砲、それによって嵐のごとく、散弾を飛ばす方法を知っています。
(5) 海戦となる場合には、…
(6) 音を立てないで、地下道や秘密の曲がりくねった通路をこしらえる方法を知っています。
(7) 堅牢で攻撃不可能な覆蓋戦車を制作いたしましょう。
(8) (9)(10)…

 ヴェネチアなど都市国家間の紛争に加え、隣国フランスの脅威にさらされていたミラノにとって、ダ・ヴィンチの提案は渡りに船だったに違いありません。首尾よくミラノ候の実質的なおかかえとなり、1482年から1499年までミラノに滞在し、あのサンタ・マリア・デッレ・グラツィエ修道院の『最後の晩餐』を描き、ミラノ候の父親の巨大な青銅の騎馬像制作に手をそめました。

 ダ・ヴィンチ手稿に登場する数々の発明スケッチと解説文を見ていくと、彼の頭の中はほとんど発明のことに夢中で、絵のほうは合間の気休めに描いていたのではないか、と思いたくもなります。

 さて、皆さんはどう思いますか。「万能の天才」の正体は、発明マニア?