5、創造主とは誰のことか

 お配りしたプラトンの『ティマイオス』(部分)は、この宇宙を含めた私たちの存在を、この世に出現させたのは誰であり、いかなるコンセプトでそれは造られたのか、について語られています。ソクラテスの対話者として登場するティマイオスは、背景に神(テオス)なる存在を暗示させ、まず宇宙がイデアの模造として造られたことを、述べていきます。

 神がこの世界を造ったのなら、悪をモデルとして遣るはずがない、とティマイオスは語り、善を元に遣られたのならば、究極の善であるイデア以外にそのモデルはない、と主張します。

 ティマイオスの語りには、二つのことか前提されています。宇宙を含めた私たちの存在には、それを生み出した「造物主」がおり、その造物主が何かをモデルにして真似て造った、の二点です。これは、たとえば宇宙の創造は、無から一種の揺らぎによって誕生したとする、現代の科学的な知見とはまったく異なる見解です。あの天才物理学者ホーキング博士か『宇宙の誕生に創造主は不要』と語っているように、科学の世界はますます神を創造主の立場から放り出してきているように見えます。

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 そのホーキング博士が、 BBCのインタビューに答えて「人工知能の進化は人類の終焉を意味する」と語り、また新たな話題を提供しています。AIを生み出しだのはいったい誰なのでしょうか。それか人類だとすれば、人類は自らを終焉させる存在を自ら造りだしたことになります。

http://newsphere.jp/world-report/20141204-4/

 SFの世界では一足先に、人間と同じ知能をもつAT ロボットを誕生させ、人間との新しい関係と未来を感じさせる物語になっています。なぜか南アフリカのヨハネスプルクが舞台なのですか、警察の一部にAIロボットか導入され。治安の維持にあたっています。ただ、このAIロボットは、自分が誰であるかという自己認識を伴わない、与えられた役目を忠実に実行するロボットの域を出ていません。

チャッピー予告編 https://www.youtube.com/watch?v=4w2Svc5o8VE
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 そこに、ロボット会社の一研究者が、自ら学んで成長する知能型AIロボットを造りあげ、「創造者」(Maker)と呼ばせて「悪いことはしない」ことを最初に刷り込みます。しかし、幼児から子どもに成長する段階でギャングに利用されたチャッピーは、「優しさ」と「粗暴」の双方を備えたAlになっていきます。
 
 やがて、人間のすべての能力を学んだチャッビーはさらに進化し、ある事情でバッテリーの充電かできずやがてF死んでjしまう運命を、ほかのAIロボットの「体」に自分の「脳情報」を転送コピーさせる技術を習得し、新しい身体を得て復活します。一方、「創造者」の研究者は、AIに知能を持たせることに反対する別の研究者から、彼の開発した脳波誘導の戦闘ロボによって深手を負い、死ぬ寸前に追い込まれます。チャッピーは、彼が死ぬ寸前に脳の情報をATロボットに転送コピーし、人間の研究者は知能をもったAI ロボとなって復活するのです。

 この物語は、ホーキング博士の予言を見事に先取りしているように見えます。身体かロボット化して、永遠に生きる人間は、いかなる存在なのでしょうか。それでも、人類と言えるのでしょうか。
 
 受講生のお一人が李兎煥(りゆはん)の「ロボットと画家」 (『余白の芸術』みすず書房、2000.11)というきわめて啓示的な小論を紹介してくれました。「芸術家の仕事とされていたものが、ロボットに取ってとしている」との衝撃的な内容です。

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